白秋文学コース

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詩人、北原白秋が三崎の地に移り住んだのは大正2年、白秋27歳の春でした。俗にいう桐の花事件による傷心の果て、新生を求めたものです。白秋はこの地で数多くの優れた作品を生み、その後の白秋文学の新天地を開く転機となりました。そんな白秋が親しみ、心拠り所とした三浦三崎の各所を巡る文学コース。

1 ひきばし
引橋の茶屋のほとりを急ぐとき
ほとほと秋は過ぎぬと思いき


2 油壷
油壷しんと とろりとして深し しんと とろりと底から光り
赤々夕日廻れば一またぎ 向うの小山を人跨ぐ見ゆ


3 諸磯
馬頭観世音の前を通れば甘藷畑 盲人こち向け日が真赤ぞよ
油壷から諸磯見れば まんまろな  赤い夕日がいま落つるとこ


4 屁っぷり坂
相模のや三浦三崎は屁の神を 赤き旗立て祭れるところ


5 二町谷
相模のや三浦三崎は誰びとも 不盡を忘れて仰がぬところ
何事ももののあわれを感ずらむ 大海の前に泣く童あり


6 歌舞島
いつしかに春の名残りとなりにけり 昆布干場のたんぽぽの花
ふわふわとたんぽぽのとび あかあかと夕日の光り人の歩める


7 見桃寺
寂しさに秋成が書読みさして 庭に出でたり白菊の花


8 真福寺
日だまりに光ゆらめく黄薔薇 ゆり動かして友呼びにけり


9 閻魔堂
鍬下ろせばうしろ向かるる冬の畑 そこに真赤な閻魔の反射


10 本瑞寺

照りかえる金柑がただひと木 庭いっぱいに日をこぼし居り


11 渡船場
照りかえる銀のさざなみ河やなぎ 白き月さえその上に見ゆ


12 北条
雲雀啼く浦の廊の田園みち 行けばさびしもまだ日も暮れず


13 大椿寺
山椿照りしずもれる真昼時 小僧むっつりと坂下り来も
この寺が大椿寺ぞと入り来て 寂しと出でぬ日暮を二人


14 白秋旧居跡
朝な夕にかがやきわたるわだゆみの   鱗の宮のみ前にぞ住む


15 通り矢
通り矢と城ケ島辺にふる雨の 間に入海舟わかれゆく


16 八景原

八景原 春の光は極みなし 涙ながして寝ころびて居る


17 海鵜展望台
三崎城ケ島は鵜の鳥島よ 潮のしぶきで 鵜が育つ


18 城ヶ島の島山
日暮るれば涙はしりぬ城ケ島 人間ものは誰居らぬなり


19 水つ垂
水っ垂の岩のはざまに垂る水の せうせうとして真昼なりけり


20 遊ヶ崎
城ケ島さっとひろげし投網の なかに大日くるめきにけり


21 白秋詩碑
雨はふるふる城ケ島の磯に 利休鼠の雨が降る
雨は真珠か夜明けの霧か それとも私の忍び泣き
舟はゆくゆく通り矢のはなを 濡れて帆あげたぬしの舟
ええ 舟は櫓でやる櫓は唄でやる
唄は船頭さんの心意気 雨はふるふる日はうす曇る 舟はゆくゆく帆がかすむ


22 灯台
城ケ島の燈明台にぶん廻す 落日避雷針に貫かれけるかも


23 ながとろの磯
寂しさに海を覗けばあわれあわれ 章魚逃げていく真昼の光


24 西崎の磯
むすめむすめ 城ケ島の娘 おまへ裸で海のそこ
朝も早うから 海のそこ 素足ちらちら 真逆様に 波を潜れば 青波ばかり


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